パネライのリセールは本当に悪い?その噂の真相とは
「パネライはリセールが悪い」──
こんな声を見たり聞いたりしたことはありませんか?
高級腕時計の中でも独特な個性と存在感を放つパネライ。
しかしその一方で、「買った瞬間に値下がりする」「売ろうと思ったら思ったより安かった」という意見がちらほら見受けられます。
これらの声は、果たして真実なのでしょうか?
それとも一部の人が声を大にしているだけで、実は全体像を見るとそこまで悪くはないのでしょうか?
中古相場のデータ、他ブランドとの比較、売るときのコツなど、これからパネライを買おうとしている方・すでに持っていて売却を考えている方、どちらにも役立つ内容です。
この章では、次のようなことを掘り下げていきます。
- なぜ「リセールが悪い」と言われるか?
- 本当に他ブランドと比べて見劣りするか?
- どうすれば“損しない選び方”ができる?
高級時計の価値は「価格」だけでは語れません。
それでも、リセールバリューは多くの人にとって無視できない要素です。ぜひ最後までじっくり読み進めてください。
パネライのリセールが悪いとされる4つの理由
「パネライはリセールが悪い」と言われる背景には、単なる噂や主観だけでなく、実際に市場で起きている“構造的な事情”がいくつか存在します。
ここでは、中古価格が落ちやすいとされる代表的な要因を4つに分けて解説します。
中古市場での流通量が多く価格競争が激しい

パネライの定番モデルは、中古市場に非常に多く出回っています。
特にルミノールやラジオミールなどの人気ラインは、数年前にブームとなり、多くの人が購入。その結果、今では中古ショップやオンラインマーケットでの流通量がかなり多く、供給過剰の状態になっています。
中古品が多く流通しているということは、それだけ選択肢が豊富になる一方で、買い手市場になりやすいということでもあります。
特に人気モデルのPAM01312やPAM01000などは、状態が良くても競合が多すぎて価格が上がりにくいのが現状です。
限定性が弱く、差別化しづらいデザイン傾向

パネライは「視認性が高く、シンプルで力強いデザイン」をブランドの核としてきました。
もちろんそれがパネライらしさであり、多くのファンを魅了する理由でもありますが、中古市場では「差別化されにくい」=「価格が付きにくい」という弱点にもなり得ます。
さらに限定モデルでも、リミテッド数が1,000本以上あるなど「希少性がそれほど高くない」ケースも多く、“限定=高リセール”にならないという点も要注意です。
大型ケースなどの好みが分かれるスタイル

“マッチョな時計”として多くの男性に支持されましたが、近年はその流れに変化が起きています。
2020年代に入り、トレンドは小型・薄型・使いやすいサイズ感へとシフト。
40mm前後のスポーティなダイバーズやエレガント系が人気を集めている中、パネライの武骨なスタイルが「重い」「大きすぎる」と感じる人も増えてきているのです。
この「使いやすさのギャップ」が、購入後に手放す人を増やし、結果としてリセール市場での下落要因になっている側面も否定できません。
経済状況や為替の影響を受けやすい資産特性

たとえば円安が進行すれば新品価格が上がり、そのぶん中古市場も高値で推移しやすくなりますが、逆に為替が安定したり、経済が冷え込めば一気に相場が下落することも。
さらに近年は「投機目的」で高級時計を購入する層が増えていた反動で、転売バブル崩壊後の価格調整が起きており、その影響がパネライにも及んでいます。
一時的な市場の波に左右されやすいことが、パネライのリセールの“不安定さ”と映ることもあるでしょう。
このように、「パネライのリセールが悪い」と言われる背景には、市場構造やブランドの特性が複雑に絡んでいることが分かります。
次の章では、実際にパネライの中古価格がどのように推移しているのか、最新データをもとに検証していきましょう。
実際のパネライ中古相場データ【2025年最新】
「パネライはリセールが悪い」という噂がある一方で、実際の市場相場を見てみると、その印象とはやや異なる現実が見えてきます。
2025年時点での買取業者の査定データや時計専門誌の調査をもとに、モデル別・シリーズ別にリセール傾向を可視化していきましょう。
シリーズ別の平均リセール率

まず、パネライの主力シリーズにおける中古買取相場の平均リセール率(定価に対する買取価格の割合)を確認します。
シリーズ | リセール率(目安) | 特徴・傾向 |
---|---|---|
ルミノール(Luminor) | 約50〜65% | 定番人気で安定感があるが、市場在庫は多め |
ラジオミール(Radiomir) | 約40〜55% | クラシックで好みが分かれやすく、相場はやや弱め |
サブマーシブル(Submersible) | 約60〜75% | 機能性・素材・限定性が評価され、堅調に推移 |
ルミノール ドゥエ(Luminor Due) | 約45〜55% | 薄型ケースで独自路線だが、ややニッチな位置付け |
このように、サブマーシブルシリーズは他のシリーズに比べて高い水準を維持しているのが特徴です。
一方でルミノールやラジオミールは、中古市場に在庫が多く出回っていることもあり、供給過多による価格の伸び悩みが見られる傾向があります。
価格が下がりにくいモデルの特徴とは

モデル選びによってリセールの結果が大きく変わるのが、パネライの特徴のひとつです。
特に、価格が下がりにくいモデルにはいくつかの共通した条件があります。
たとえば、数量限定モデルやすでに生産終了となっているリファレンスは、中古市場でも再販価値が高く評価される傾向があります。
さらに、自社ムーブメント(P.9000系やP.9010など)を搭載したモデルは、ETAムーブメントベースのモデルよりも市場評価が高いことが多く、査定時にも差が出やすいです。
また、素材面で言えば、ブロンズ・ゴールドテック・カーボテックなどの特殊素材を使ったモデルは、一般的なステンレスモデルよりも高い査定がつきやすい傾向があります。
こういった要素を組み合わせて選んだモデルは、長期間使っても価値が大きく下がりにくい“損しにくい時計”になり得るでしょう。
高値がつく/つきにくいモデルの具体例

◎ 高リセールが期待できるモデル(買取率:60〜75%)
- PAM00968(サブマーシブル ブロンズ)
限定モデルかつ希少なブロンズ素材。高額での取引が多く報告されています。 - PAM01305(サブマーシブル チタン)
軽量で実用性が高く、ムーブメントも自社製。中古市場での人気が安定しています。 - PAM01312(ルミノールマリーナ)
ブランドの定番かつ王道モデル。ファンが多く、回転も速い印象。
△ リセールが伸び悩むモデル(買取率:40〜50%)
- PAM00090(ルミノール パワーリザーブ)
旧型ムーブメント搭載であり、技術面・デザイン面でやや古さを感じさせる。 - PAM00753(ラジオミール ブラックシール)
クラシック寄りのラジオミールは市場のニーズが限定的。 - PAM01000(エントリーモデル)
価格帯が手頃でユーザー数が多い=中古市場でも競合多数で価格がつきにくい。
もちろん、これらのモデルでも状態・付属品・時期によって価格は上下します。
しかし傾向として、「限定性がある・素材が珍しい・人気が継続している」モデルは総じて高値がつきやすいというのが現状です。
他ブランドと比べて本当に悪い?パネライの立ち位置を検証
「パネライはリセールが悪い」と言われるとき、どうしても気になるのが「じゃあ他のブランドはどうなの?」という比較の視点。
時計のリセールは単独で評価するよりも、他ブランドとのバランスの中で見ることが重要です。
この章では、ロレックス・オメガ・IWCなどの主要ブランドとパネライを比較しながら、パネライのリセール価値が本当に見劣りするのかを検証していきます。
ロレックス・オメガ・IWCとの比較で見るリセール率

ロレックスは時計ブランドの中でも「資産性」が高く、中古市場での評価は別格。一部の人気モデルは定価を上回るプレミア価格で取引されることも珍しくありません。
以下は、各ブランドのおおよその平均リセール率(2024〜2025年相場)の比較です:
ブランド | 平均リセール率 | コメント |
---|---|---|
ロレックス | 85〜100%以上 | 一部モデルは定価超え。中古でも価値が落ちにくい圧倒的王者 |
パネライ | 50〜65% | モデルによる差が大きいが、選び方次第で安定も可能 |
オメガ | 45〜60% | スピードマスターなど一部は健闘。全体的に堅実 |
IWC | 40〜55% | パイロット系は人気だが、全体的にやや価格落ちやすい傾向 |
こうして見ると、パネライのリセールは決して“極端に悪い”わけではないことが分かります。
むしろ、オメガやIWCと並ぶ“中堅以上”の水準にあり、モデルによっては十分健闘していると言えます。
「資産時計」ではなく「嗜好性の強い時計」という立ち位置

ロレックスや一部のパテック・フィリップのような「資産として価値を持つ時計」と比べると、パネライは明らかに立ち位置が違います。
パネライはどちらかといえば、「自分のスタイルを主張するための時計」「個性を楽しむ時計」という側面が強く、あくまで趣味性やデザインへの共感が購入理由の中心になります。
また、ファッションやスポーツとの相性も良く、ミリタリーテイストの強いデザインは、一定層に根強い人気を誇っています。
それでもパネライが選ばれる理由
リセールを重視するなら、ロレックスや特定のハイブランドが有利なのは間違いありません。
ですが、それでもパネライを選ぶ人が絶えないのには明確な理由があります。
- 他にない武骨なデザインと存在感
- マニア同士の“通”な共感とブランド愛
- イタリア生まれの美学と歴史性(元は軍用時計)
このように、パネライは資産性ではなく「愛着」や「感性」に響くブランドです。
そして、きちんとモデルを選び、コンディションを保っていれば、必ずしもリセールで損をする時計ではないというのが現実です。
リセールを意識して後悔しない選び方・売り方
パネライを購入するにあたって、リセールバリューを無視するのは少しもったいないかもしれません。
もちろん、「好きだから買う」「一生ものとして使う」という姿勢はとても素晴らしいものですが、どうせなら“損しにくい買い方・売り方”を知っておくに越したことはありません。
このセクションでは、購入前に意識したいことから、売却のタイミングや手段まで、リセールを意識した実践的な選び方・手放し方をご紹介します。
購入時にチェックすべき3つのポイント

パネライを選ぶ際に、以下の点を意識するだけで将来的な損失を抑える可能性がぐっと高くなります。
まず1つ目は、「人気モデル」かどうか。
定番モデルや過去に高評価を受けているリファレンスは、中古市場でも需要が安定しているため、値崩れしにくい傾向があります。
たとえばPAM01312などは、発売から数年経っても査定価格が一定水準をキープしている代表的モデルです。
2つ目は、
正規品か並行輸入かを確認すること。
並行輸入品は新品価格が安い分、買取時に保証書の扱いやサポート体制に差が出ることがあり、査定額に影響するケースがあります。
もちろん並行品でも高く売れることはありますが、特にこだわりがなければ正規ルートの方が安心です。
そして3つ目が、「付属品やコンディションを丁寧に保つこと」です。
時計本体の状態はもちろん、箱・保証書・替えベルト・タグなども含めて“フルセット”であることが高額買取の大きな鍵になります。
新品購入後はなるべく傷を避ける保管方法、使わない時期はワインディングマシンを使わず保管など、日常的な心配りが将来の価値に直結します。
売却時に高く売るためのタイミングと戦略

手放すときにも、少しだけ戦略を持って動くことで数万円〜数十万円の差が出ることも珍しくありません。
まず注目したいのは、為替のタイミング。
円安が進むと正規新品価格が上がるため、相対的に中古価格も高くなる傾向があります。2022〜2023年の円安時には、定価改定が相次いだ影響で中古市場も高騰しました。
次に、中古需要が高まる時期を見計らうこと。
たとえば3月や9月のボーナス前、12月の年末などは高級品の動きが活発になるため、買取価格がやや強気になるケースが見られます。
また、売却手段も大切です。
最近は宅配買取サービスや時計専門査定サイトも充実しており、複数業者に一括で見積もりを取るだけで査定額が大きくアップすることもあります。
「どこで売るか」「いつ売るか」を意識することで、パネライの価値を最大限に活かす売却が可能になるでしょう。
パネライを購入後に後悔しないための判断ポイント

パネライは「好きな人にはたまらない」「でも、合わない人には合わない」──そんな強い個性を持つブランドです。
リセールを意識して選んだとしても、「なんとなく気に入らない」「使いにくい」「売るのが早まった」といった後悔を抱える人は少なくありません。
よくある後悔パターンとその原因
パネライ購入後の“あるある後悔談”としてよく見かけるのが以下のような声です。
- 「想像よりもケースが大きくて重かった」
→ 実際に着けてみると、44mmや47mmの大型ケースは日常使いで疲れることもあります。 - 「シンプルすぎて飽きてしまった」
→ 長く使うにはシンプルすぎた、という声も一定数。デザインが似通っているため、複数所有で満足できない人も。 - 「売ったら思ったより安かった」
→ 人気モデルや限定品を避けたことで、想定よりも査定が伸びなかったケース。
こういった後悔は、事前に少しだけ冷静な視点を持っていれば回避できるものがほとんどです。
購入前にチェックすべき3つの視点
パネライのような個性派ブランドは、「価格」や「スペック」だけで選ぶと失敗するリスクが高まります。
以下のような視点で自分の「本音」と照らし合わせてみてください。
1. 長期で使いたいと思えるデザインか?
パネライのデザインは強く一貫しており、それが魅力でもあります。
「最初はかっこいいと思ったけど、数ヶ月で飽きた」──このパターンは意外と多いです。“愛着を持てるかどうか”が鍵です。
2. 自分のライフスタイルと合っているか?
パネライは基本的に重厚感のある時計です。スーツに合うモデルもありますが、Tシャツやカジュアルスタイルとの親和性が高い傾向があります。
「スーツが多い仕事だから、やっぱり薄型ドレス時計にしておけば良かった」と感じる人もいます。
3. 売却の可能性も視野に入れているか?
「一生使うつもり」でも、ライフスタイルや価値観の変化で手放すことは誰にでも起こり得ます。
そのときのために、人気モデル・リセールが安定しているモデルを選んでおくのは保険になります。
後悔しにくい人の共通点とは?
では逆に、「パネライを買ってよかった」と感じる人たちにはどんな共通点があるのでしょうか。
- 時計の“資産性”ではなく“満足感”を重視している
- ミリタリー系・マニッシュなデザインが心から好き
- ブランドの歴史やストーリーに共感している
つまり、“使うこと”に価値を置いていて、“売るときのこと”は二の次。
そんな人にとって、パネライはまさに「最高の相棒」になるブランドです。
パネライは「所有する喜び」がしっかり味わえる一方で、合わない人には少し重たすぎるブランドかもしれません。
だからこそ、購入前にほんの少し立ち止まって、「自分がどんな価値を時計に求めているか?」を見つめ直す時間を持つことが大切です。
まとめ:パネライのリセールは「悪くはない」、でも戦略が必要
「パネライのリセールは悪い」と言われることがありますが、ここまで見てきたように、これはすべての人・すべてのモデルに当てはまる評価ではありません。
確かに、ロレックスのような“資産性がある時計”と比べれば、パネライは価格の安定感では一歩譲るかもしれません。
人気モデルや限定モデル、素材に個性のあるものを選び、状態や付属品をしっかり管理する。
そして売却時期を見極める──この3点を意識するだけでも、「損をした」と感じるリスクは大きく減らせます。
そして何より、パネライの真価は単なる価格の数字では測れない部分にあります。
イタリア生まれの美学、大胆で無骨なデザイン、軍用時計としてのバックボーン──そのすべてが、「機械式時計を着ける楽しみ」を教えてくれるブランドです。
損をしないための知識は大事。でも、本当に大切なのは、買ってよかったと心から思える1本を手に入れること。
パネライは、
そんな1本になり得る時計です。



